吉野家
なんとなくひさしぶりに吉野家に行こうと思った。
吉野家といえば。入った瞬間からもう早よ帰れと言いたげな店内の空気。おまえ何しに来やがったという店員の視線。スピード感があるというわけではなくむしろダラダラとしているのだが、それでいてやはり無駄がない、というよりもお前のために一分一秒たりとも時間をロスしてたまるかというような対応。オレはあのサービス精神に乏しい応対が嫌いではない。店員と客とのドライな関係が心地よくさえある。そんな空気を味わうのも悪くはないものだ。
「いらっしゃいませー」
うわ、めっちゃフレンドリー。しかも店員全員声合わせて。コーラスかよ。たった3人だけど。
「お茶のおかわりはいかがでしょうか」
吉野家でこちらから頼まずに茶のおかわりができるとは。しかもまだブツが来てないというのに。
「ごゆっくりどうぞ」
ごゆっくりどうぞとは。長居可能なのか?まあ、オレしか客居ないけど。うわー、店員がそれとなくオレに気に遣ってる。横目でちらちら見てる。サービスするぞという気配を感じる。
というわけで、ひさしぶりに吉野家に行って以前の雰囲気との違いに何となく驚いたのでした。それとも田舎の吉野家ってこんなもんなのかな。オレの知ってる吉野家は何ていうか、こう、都会に生きる若者の孤独というか、何というか切なさを表現していたような気がする。
切なさ?