ギザジュウ
なぜ我々はギザジュウを後生大事にとっておいたりするのか。
「はあ、はあ、やっと辿り着いたぞ、ムー大陸の秘宝はこの扉の向こうにある。」
「やっと辿り着いたんですね、隊長。遥か太古に地球外生命体が遺した秘宝に。」
「ああ、ようやく辿り着いたよ。長い道のりだった。さあ、扉を開けるぞ。アレを渡すんだ。」
「アレって何です?」
「出発する前に預けたはずだ。」
「え?...ひょっとしてあの10円玉ですか?」
「そうだ、10円玉こそがの秘法への扉を開く鍵だったんだ。」
「!そ、そんなありふれたものが、まさか鍵だったなんて...」
「信じられないかもしれないが事実だ。遥か太古に地球にやってきた地球外生命体は我々の遺伝子にプログラムした。いつか人類が秘宝、つまり超技術を使いこなせる日が来たとき、辿り着けるように。日本国政府が10円玉を作ることもすでにDNAにプログラムされてたのだよ!」
「な、なんですってー!」
「私が古文書を解読した結果だ。間違いない。さあ、扉を開くんだ。」
「はい!」
ピタリと扉の円形部に納まる10円玉。
ゴゴゴゴゴゴ...
「おお!扉が動き始めた...」
グラグラグラグラ
「隊長、洞窟が崩れます!」
「な、何、私の解読にまちがいはないはず!う、うわー!」
「うわー、天井が崩れる!」
ガラガラガッシャーン
彼の解読は間違っていたのか?いや、間違ってはいなかった。ただ一点を除いて。
扉を開く鍵はギザジュウでなくてはならかったのだ。
こうして太古の超技術は永遠に我々人類の手から失われたのだ...。
というような時のためにギザジュウを取っておく必要があるのです。