仮想
金さんの仮想大賞、それは自分の仮想がいかに無駄か競い合う、お茶の間でも大人気のTV番組だ。
「遊び人の金さんです。そもそもおれが遊び人ってこと自体が『もしも南町奉行が遊び人と奉行の二重生活を送っていたら?』なんだけどな。
それでは、いきなり最後の挑戦者!仕事も仮想なら恋愛も仮想、何から何まで仮想の常連、高槻市の会社員 木田次郎さん(36歳)!」
「妻に最近こう言われました。『あなた、私と仕事とどっちが大事なの?』」
パ、パ、パパパパパパパ、ひゅるるるるるる〜〜〜〜〜。
「いっやー、残念。さあ、こっちへ。木田ちゃん、いやー残念だったねー。委員長、どこがダメだった?」
「それを言っちゃあおしまいでしょ。仕事と比べられるかっての。ていうか、仮想の定義から外れるてるし。」
「いやー、本当に残念だったねー、木田ちゃん。どう、感想は?」
「や、や、ヤバイんですよっ!賞をとれなかったら離婚するって妻に言われてるんですよっ!」
「ホントかい、木田ちゃん!何でそれを先に言わないんだい!審査員のみなさん、何とかしてやってよ!」
パッ、パッ、パッ、ひゅるるるるるる〜〜〜〜〜。
「ああ、届かない!やー、惜しかったんだけどねー。木田ちゃん、まあ頑張ったんだけどしょうがないよ。きれいさっぱりと離婚してくれや。」
「いや、『もしも結婚して妻がいたら』っていう仮想の話なんですけどね。」
パパパパパパッ、チャチャチャチャーチャチャチャーーーッ、タラタ。